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希代のナンバー2:福田官房長官 [ボスの条件・CEO]

名ナンバー2

官房長官時代は輝いていました。企業の社長室長としてもお手本となる武勇伝があります。
岸田コラムより:社長室長”官房長官”
http://kishida.biz/column/2004/20040517.html


会社の長期計画は企画部が立案して、総務部が会議を招集。財務部と経理部と業務部と営業部と管理部と事務部と業務渉外部が了承して、企画部長が秘書室に持って行き役員会で承認される。


営業上の重要事項については業務部と営業部が協議し、予算が必要なら経理部と相談した上で総務部に持って行き稟議が回る。他社との提携が業務渉外部の活動の中から持ち上がったら、業務部と企画部に協議した上で、経理部と財務部に事前打ち合わせをし、総務部長のところへ持って行く。総務部長は担当役員のところへ相談して稟議にするか役員会に直接諮るかを決める。年度予算は財務部長が中心になって各部からの要望をまとめていく。


会社の重要事項はだいたいこのようにして決まる。社長の出る幕はほとんどなく、すでに多くの役員が了承した上で最終決裁をするだけ。それを株主総会のときに総務部長が上手くまとめた原稿を読み上げて株主の了承を取り付けるのが唯一目立った仕事だ。


日本の大企業はほとんどこの流れで物事が決まっていた。ところが、会社が順調に利益を上げ拡大していくと、新しいことを始めるのに躊躇しだす。長期計画は現在走っている計画の延長線上で、他社との提携などリスクの大きいものはやらなくなる。前例主義に事なかれ主義ががっちり固められた縄張りの中で会社は運営されていく


何も自分たちが新しいことをやってライバル会社と戦わなくったって、ライバル会社との調整を監督官庁がやってくれるのだから、お役人の言う事をよく聞いて、事を荒立てないほうがいい。株主総会はどうせ株式の持合で文句を言う人はいないわけだからシャンシャン総会にすればいい。何か新しいことを社長が考えて総務部長に相談すると、次の日には全部長に伝わりやらせない手立てを考えている。


こうやって日本の大企業病はすくすく育った。しかし、デフレ不況の中で株価が下がり、株式の持合は財務を直撃するようになって、持ち合い解消を余儀なくされた結果、利益を求める株主や親会社のプレッシャーを感じる社長が出てきた。しかし、社内はいまだに大企業病。業を煮やして役員会で檄を飛ばすが、空気はしらっとしている。これではダメだと自ら部長会議に出席して奮起を促す。その部長たちが担当の役員の立場を気にして何も言わなかったら、最後の手段は何か。社長室の創設だ


動かぬ組織に動かぬ役員。これに対抗するには、やる気のある社員を役職や年齢、経験に関係なく社長の周りに集め、「社長のご意思だから」という御旗を掲げて社長室の社員が直接各部長に談判できるトップダウンの制度を作るのだ。


会社の長期計画は、社長室の課長代理ぐらいの若手が社長のビジョンを持って企画部長に当たる。営業成績の数字は各商品やサービスごとに業務部や営業部の担当者から直接社長室の社員に上げさせる。他社との業務提携は、社長の意思を携えた課長クラスの社長室スタッフが、「社長室・課長」という名刺を持って他社の担当役員と折衝する。


社長室は、社長の意思を行動に移すには手っ取り早い組織改革の目玉になる。社長室に配属になったやる気のある社員は縄張りや上司の政治的言動を気にしないで思いっ切り働ける。


ところが、面白くない人たちがいる。それまで会社を牛耳っていた各部の部長と担当役員たちだ。これらの人たちは抵抗勢力になって、社長の言う事は聞いても社長室長の言う事を聞かないようにする。社長室から上がってくる予算請求はことごとく財務部で保留にする。これで社長室の機能が働かなくなる。


そこで、間髪をいれず参ってしまった社長室長を抵抗勢力の仲間に引きずり込もうとする。みんな何もしないで上手くいっていたのに社長室長が一人やる気になるから社内が混乱するんやと社長室長を説得する。


ところが、そんな時に社長が以前からやろうとしていたライバル会社との業務提携が合併を視野に入れて実現するというニュースが社内を駆け巡る。そのニュースは総務部の社内通達文からではなく日経新聞の夕刊で全社員が知ることになる。地方の支店長からはどういう事かと総務部長のところに電話がかかる。しかし、総務部長は「実は、私も今知った」。これで、社内の目は社長室に集中する。社長の意を汲んで昼夜ライバル会社の担当役員と裏で画策していたのは社長室長だった。


こういうでかい仕事が成功すると、俄然、社長室は社内で存在感を高めてくる。各部で社長に聞かれると具合が悪い問題が起こると部長が社長室長にどうしたらいいかお伺いを立ててくる。社内の調整も社長室長が行うことになり、予算の配分も社長室長が財務部長に案を示す。社長と社長室長はいつも二人で社長室や料亭に閉じこもり厄介な問題を討議したり次の一手を探る。情報は行動が起きるまで漏れてこない。


そんな時に、日経新聞の記者が華々しく業績を伸ばす会社の実力者というテーマで取材に来た。日経の記者は社長室長にこう聞く。


「御社の業績はこの3年で急激に伸びました。この功績は会社の方向をはっきり決める社長の下で社長室長が各方面に動くためと言われています。そのため、社長室長は陰の総務部長、陰の渉外部長、陰の社長と言われていますが、この点をどう思いますか」


「はあ、そうですか。陰の総務部長、陰の渉外部長ね、へぇ、でもしょせん陰ですから」


実は、この社長室長こそ福田官房長官だった。そしてその社長室とは、内閣府。イラクへの自衛隊派遣、北朝鮮の拉致問題、年金問題に雅子妃人格否定問題、すべてが、この変革の中で起こっている。

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2011-04-24 00:28  nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
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