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選択と集中が実現できない理由とは [経営戦略・マーケティング]

選択と集中

プレジデントより:http://www.president.co.jp/pre/backnumber/2004/20040517/825/

長期雇用を重視する日本企業の場合、簡単に事業売却ができるわけではないから、もともとダイナミックな「選択と集中」を簡単にやってのけることができない。


ソフトランディングのスキルが必要です。

長期雇用慣行は人件費を固定費に変える。固定的な設備以外に人件費まで固定費になっている日本企業の場合、損益分岐点が非常に高いところにある。損益分岐点が高いのであれば,ほんのわずかな売上高の低下でも収益率に大きな影響を及ぼす。長期雇用を重視している企業では、現在の売り上げに直結する業務に関して「選択と集中」を行っても、かえってマイナスの効果が目立ってしまう。固定費が変わらず、売り上げが落ちるだけだからである。


埋没原価

 唯一の例外は社内に急成長している部門がある場合である。この急成長部門に人員を異動させれば、切り捨てられた旧部門の売り上げ分を比較的短期間で急成長部門が補ってくれるから、てこずることなく2〜3年で数字が好転するはずである。しかし、急成長部門をもたない場合には、現行の製品系列を整理して「選択と集中」を行ってもプラスの効果を短期的に生むことは難しい。この場合、現行の事業分野をそのまま維持し、未来の事業分野について「選択と集中」を行うしか手がない。つまり、まず、現行の事業分野そのものへの資源投入を抑え、未来の事業分野創出への投資、すなわち研究開発や製品開発への投資を重視する。さらにその開発活動そのものにおける「選択と集中」が必要である。特定事業分野の製品開発を加速し、急成長する事業をつくり出すことに努力を傾けるのである。


今までの事例ですね

また、追加投資のない現行製品を抱えて顧客に売り込み、売上高の死守を命ぜられている営業部隊からの反発も大きいであろう。この営業部隊からの声に負ければ、現在の市場シェアを維持するための販促費が増え、現状のすべての製品分野で製品開発が進められることになる。その意味でも、ここで言う二段階の「選択と集中」は難しい。


営業もがんばっているのです・・・

マスコミにウケることを重視する人にも、社内融和を重視する人にも不況下の「選択と集中」は難しい。


好況下では売上高が増し、どのような事業もある程度プラスの「利益」を出すようになる。


 この場合、本当は撤退したい事業でも、「何もそこまで厳しい対応をしなくても」という反応を社内に生むことが予想される。しかも不況下の昨年との対前年比を見れば、大幅な好転である。「皆の努力が実った」と喜び合っている事業部を「売却」するとは言い出しにくい。

「社長は○○事業部出身である」ということが社内で重視されているケースは多い。長い間同じ事業領域で運命を共にしてきた濃密な上司―部下関係がプラスに作用する局面も多いのだが、「選択と集中」ではマイナスのほうが多いかもしれない。


人情でやつですかね・・・

長期雇用を前提している日本企業では、雇用量は長期的にしか変えられない。だから売上高も利益も短期の変動に目を奪われることなく、長期的な傾向に注目し続ける必要がある。「好況期に若干の好転を見せたからリストラの対象とするべきではない」と主張するミドルも、それに迎合するトップも、問題がある。長期雇用を重視するのであれば、長期的な利益を重視して、首尾一貫した厳しい経営を遂行する必要がある。好況期の小さな利益ゆえに優しい態度に豹変してはならない。経営判断は不況下と好況下を合算した長期の利益に連動するべきなのである。


難しいですね・・・

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2013-02-24 23:11  nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
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