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マクドナルド 経営戦略 リーダーの戦略 [経営戦略・マーケティング]

【2009.5.6】
“らしさ”を失ったら、駄目になる

IT Pro 経営とIT新潮流 リーダーのアドバイス
日本マクドナルド 原田代表取締役会長兼社長兼最高経営責任者(CEO)
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Interview/20090424/329128/?ST=biz_leader&P=1

アップルの不振も、マクドナルドの不振も、今振り返るといくつかの共通点があったように思います。アップル日本法人代表に就任した時の記者会見で、私は「アップルの業績不振は外的要因ではなく内的要因だ」と言いました。マクドナルドの過去の業績不振の原因も、アップルと同じものでした。2社とも、“アップルらしさ”、“マクドナルドらしさ”を失っていました。独自の強みをすっかり失って、違うことをやっていた。私が2社で行ったことは、忘れていた独自性を取り戻すということです。  それから、2社共通の改革として、お客さんの価値認識につながらないコスト構造は徹底的に省き、その原資を価値を生む分野にシフトするということをやりました。例えば、アップルでは、販売店のマージンを無くして、お客さんとの接点という分野に投資をシフトしました。  それからもう1つ、経営者が気づくべきことは「戦略をいくら語っても経営はできない」ということです。業績、結果が伴って初めて社員のモチベーションが上がり、世の中も理解してくれるのです。「売り上げ無くしてすべて無し」です。いくら素晴らしいコマーシャルを流しても、業績無くしてブランドは作れません。


自ら戦略を考えて実践していくタイプ
その姿勢を、社員にもっと浸透させていく。

 この5年間、戦略に優先順位を付けて実行してきたと言ってはいますけれど、私の日々の状況はどうかというと、そんな理屈で考えてはいませんよ。その日その日のパッション、情熱でアイデアが出てきて、それを実行しているのです。『クォーターパウンダー』の成功もそうです。情熱から出てきたアイデアであって、論理から出てきたアイデアではないです。


日本マクドナルドの独自の強さとは

 
2つあります。1つ目は「バリュー・フォー・マネー(Value for Money)」。同じ値段でも絶対にお得感があり、納得感の高い商品、これが当社の強さです。  2つ目は「スーパーコンビニエンス」。ドライブスルーの多さや商品提供スピードの速さなど、お客さんにっとての高い利便性です。その利便性の発展形がeクーポンなどのeマーケティングです。それから、店舗の24時間営業を増やしていることも、お客さんにとっての利便性を高めることにつながっていますね。



成功はゴミ箱の中に レイ・クロック自伝―世界一、億万長者を生んだ男 マクドナルド創業者 (PRESIDENT BOOKS)

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  • 作者: レイ・A. クロック
  • 出版社/メーカー: プレジデント社
  • 発売日: 2007/01
  • メディア: 単行本



【2008.12.2】グロービス経営大学院:金森客員准教授のコラムより

表参道の「QUARTER POUNDER(クォーターパウンダー)」に行ってみた。マクドナルドの新商品「クォーターパウンダー」のみを扱う、期間限定の販促店舗である。表参道と渋谷にオープンしたこのクォーターパウンダー専門店は、プロモーションやアンテナショップ的な役割が強く、このメニューはマクドナルド11月28日、首都圏のマクドナルドに展開された。 それよりも、この商品をマクドナルドがこのタイミングで、この価格で上市したことに深い戦略があると思うのだ。 マクドナルドには「高級バーガー」で痛い目を見た過去がある。2004年の「マックグラン」だ。「ハンバーガーの王道」と華々しくデビューした3つのハンバーガー、「マックグラン」「ダブルマックグラン」「トマトマックグラン」は、上昇気流に乗れず、1年ちょっとで撤退したのである。 しかし、今、時は満ちている。メタボ対策や、健康志向の高まりに対する反動であろうが、「メガマック」は成功を収めた。大きいものを好む層を確実に取り込んだのだ。しかし、その層を確保するだけであれば、メガマックを続ければいいだけのはず。なぜ、クォーターパウンダーを上市させたのか。 アンテナショップとしての表参道・渋谷の店が表わすように、「海外のマクドナルドで展開されている由緒正しいメニューである」とポジショニングされた商品なのだ。ただの「メガマック」の親戚ではないと。 全国的にハンバーガーはブームであるのは確かだ。各地の独自の食材を用いた「ご当地バーガー」や、高級食材を用いた「高級バーガー」など、全国チェーンのハンバーガーとは一線を画すメニューが人気を呼んでいる。 例えば、高級路線の老舗では、ハワイ生まれの「KUA` AINA(クア・アイナ)」がそうだ。クア・アイナでは、最もスタンダードな3分の1ポンドのハンバーガーが850円。2分の1ポンドは1050円だ。かなりのボリュームだが、値段もなかなかである。 ここでマクドナルドの価格戦略を見てみよう。「クォーターパウンダー」が一般店で単品で発売される際には「ダブル」で480-490円になるという。同じ土俵で比べるのはムリがあるかもしれないが、「海外で販売されている本格バーガー」というポジショニングの商品としては破格だろう。 この戦い方はマクドナルドならではの「コストリーダー」の戦い方の典型だといえる。 コストリーダーは「高級バーガー」というような狭いカテゴリーで戦うことはしない。広い市場でコスト、つまり圧倒的な調達力を武器に戦う。 そして、リーダーの戦い方の得意技は「同質化」である。市場の中の目立った競合と同じような商品を上市し、圧倒的な販売力で競合の存在をかき消してしまうやり方だ。 さすがに、「高級バーガー」と言い切ることはしないし、全ての競合を消し去ることはできないが、消費者には「この値段でそこそこなら、まあいいか」と思わせてしまう効果はあるだろう。 つまり、今回の「クォーターパウンダー」はコストリーダーたる、マクドナルドらしい戦い方であると考えることができるのだ。100円マックや100円プレミアムコーヒーなど、低価格メニューの提供をしつつ、こうした同社としての高単価メニューを導入することによって、マージンミックスをうまく図っているのである。


【2006.2.12】

http://bizns.nikkeibp.co.jp/cgi-bin/search/wcs-bun.cgi?ID=361764&FORM=biztechnews

日本マクドナルドの原田社長は、「2005年を実行の年」と位置付ける。2004年に掲げた基本戦略とその成果をベースに、成長戦略をさらに推進する考えだ。原田社長は戦略を考える際、3年先までをとらえて考えるという。
 
昨年は、ブランドの構築、店舗体験の拡大、組織力のさらなる向上と人材育成という3点に取り組んできました。これらをベースに今年は、マクドナルドの強みを再度よみがえらせるための諸施策を実行に移す。「サービス」、「バリュー」、「ファミリーおよびキッズ、ヤング」という三つのポイントに対して、徹底した投資を行います。
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 また2006年は、2005年の成果を基に、さらに多くの顧客を獲得したい。
 私は、事業の3年先までをとらえて経営を考えています。今の状況を掌握し、すぐに手を打たなければならないところをまず導き出す。その上で、来年の計画を練る。また、再来年はどんな成長を遂げているか、どんな企業の形になっているかを想定し、それに向けて、来年の段階でどんな投資をしなくてはならないかを盛り込む。再来年の姿が描けないと、来年の具体的な計画が描けません。
 計画を練り、そして、それを社内に徹底させるために、2004年はとにかく絵を描きました。
 

1枚の紙に一つの絵。それをたくさん書いて、私の考え方や手法を伝え、今後の方針を策定してきた。自分の考えを伝えるのに、絵にすると伝わりやすい。日本の経営者の多くも同じように考えている。しかし、1枚の紙に、どうしてもいろんなものを詰め込みすぎる。それじゃあ、伝わらない。1枚の紙に一つの絵というのがポイントなんですよ。あまり教えたくないポイントなんですが(笑)。


 ■IT部門のトップに、元アップルコンピュータの大宮裕子氏を採用しましたね。
 原田 彼女には、アップル時代にいろいろなことを経験させました。そのため、IT部門と現場部門の両方が分かっている。これまでの日本マクドナルドは、IT部門と現場との間に大きな乖離(かいり)がありました。「お互いに別の仕事をしている」という意識があったのではないでしょうか。しかし、彼女が入社してからの半年間で、お互いがビジネスパートナーであるという意識が芽生えています。
 

http://www.planbiz.info/blog/archives/20050315_004344.php

2002年12月決算で29年ぶりの最終赤字に転落した日本マクドナルドホールディングスが復活の狼煙を上げている。昨年2月にアップル・コンピュータから招聘された原田永幸(はらだえいこう)社長が断行した改革の成果が早くも現れ、前期決算では3期ぶりの黒字転換を果たした。


「難しいことをやったわけではない。当たり前のマネジメントを当たり前に実行したまでだ」という原田改革の要諦は、QSC(品質・サービス・清潔さ)の徹底改善にある。


営業時間の延長、客席スペース拡大を伴う店舗改装、消費者の市場調査を重視する商品開発、効率的な広告投資など、「細かい点まで数えれば100以上の施策を打った」(原田社長)。


同時に組織・人事制度を大きく変えた。昨年5月末にフラットな中央集権組織へ改編。古巣のアップル・コンピュータから現執行役員の大宮裕子氏以下5~6名を引き抜き、人事、IT、経営戦略といった主要部署に張り付け、社長自ら血を入れ替えた。


米コンサルティング会社のベリングポイント(旧KPMG)からは数人を入社させ、「改革施策の成果を検証し、成果を上げている人に報いる仕組みもつくった」(原田社長)。


ところが、改革の方向性が明確に提示され、業績回復という成果が上がっている一方で、社内からの人材流出に歯止めがかからない。原田社長がマクドナルドに転じて1年、執行役員以上の幹部社員のうち、少なくとも8人が会社を去った(3月末までの退任を含む)。


「売上至上主義についていけない」「米国市場の成功例を深慮せずに導入する」「社長の中央集権体制が強く執行役員の裁量が限られる」といった批判がある。


あくまでも強気の原田社長は、独裁的であるとの批判も一蹴しています。


幹部社員の流出については、気にしていません。アップル・コンピュータ社長時代も同じ現象が起きた。誰も苦痛もストレスも感じない改革などありえない。私は7年間続いた既存店売上高の減少をくい止めた。ビジネスは結果がすべてです。私のやり方についていけない人が辞めたとしても、改革の方向性が間違っているとは思いません(談)」。


社員の退職が続いたとしても、それはあくまでも社員自身が自己責任で選んだ結果という考え方です。決して、噂されるように意に沿わない人間を原田氏本人がクビにしたわけではないと説明しています。 情報源、『企業文化は独裁で作る』(日経ビジネス 2005年3月14日号 p.140-3)です。


私のプレゼンテーションは、決まって最後にバスの絵を出します。賛同するならバスに乗れというメッセージです。1月のミーティングでも、やはりバスの絵を出しました。昨年1年、私と仕事をして「思った以上にスピードが速い」「乗り心地が悪い」と思っている人がいるかもしれない。だから、今年はチケットを買い直せと。ワンチームでやる以上、乗るか乗らないか、はっきりさせないとダメなんです。その決断は個人の責任です。


私は社員をクビにしない。会社を辞めるかどうかを決めるのは個人です。会社を変革する時に、サラリーマンが「自分が辞めさせられるのではなかろうか」と動揺するのは当たり前です。それを放っておいて活力は生まれない。私の施策はリストラではなく、人材育成だよと言い続けています。


同じように外部から招聘されて社長に就任した、2社長の結果が正反対となった理由はどこにあるのでしょうか? それは、原田氏と元久氏とのビジネス・キャリアが根本的に異なるからだと思います。原田氏は、東海大学工学部卒業後、日本NCR、横河・ヒューレット・パッカード、アップル・コンピュータと、外資系IT企業一筋に歩んできました。


前職のアップルでは既に日本法人のトップを経験しています。IT業界のスペシャリストの食品業界への転身を懸念する声もありました(IT業界のビジネスリーダーは、他業界へ転出してもその手腕を発揮できるか)。しかし、原田氏はプロフェッショナル・マネジャーとしての力量は、業界を超えて通用することを身をもって証明したことになります。また、外資系出身者だけあって、改革を断行するには摩擦を起こすことや、批判を招くこともやむなしとの強い信念も感じられます。


元久氏は、東大文学部卒業後、山一証券、住友海上火災、松井証券と、国内系金融機関専門のキャリアです。新規事業の推進に手腕を発揮したことでは有名でしたが、組織マネジメントという面では、未知数であってのではないでしょうか。日本の大手金融機関では、40代前半で大組織の運営を任される機会もそんなになかったはずです。


また、前職の松井証券も松井道夫社長の強烈なリーダーシップで、成長してきた会社です。右腕と言われていたとしても、あくまでも松井社長の参謀としての役割に過ぎなかったと思われます。武富士でも、最初から自分の色を出すこともできなかったのでしょう。


もう1つの違いは、社内にそろえた腹心の部下の数にあります。改革のために外部から来た人間に対しては、幹部を含めて社員全員が敵となることも普通です。原田氏は、主要部門にアップル時代の部下を配置すると同時に、一般社員とコミュニケーションを持つ仕組みも積極的につくりました。独裁者という批判を恐れずに、急速の原田色を社内に浸透させたのでしょう。





とことんやれば必ずできる

とことんやれば必ずできる

  • 作者: 原田 永幸
  • 出版社/メーカー: かんき出版
  • 発売日: 2005/04/23
  • メディア: 単行本




2009-05-06 23:27  nice!(1)  コメント(1)  トラックバック(5) 
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corns

初めまして。
この本、先日わたしも読みました。
エントリーしていただいた補足情報はこの本には書いていないこともあって、参考になります。
原田さん自身が書いたこともあって、実際のビジネスの現場での話は比較的少なく、上記のエントリーと合わせて読むことで内容を立体的に把握できます。
by corns (2006-02-14 18:33) 

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